非正規労働者から正社員になれる?無期雇用契約への転換申込みとは?

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アルバイトやパート、契約社員など、いわゆる「非正規労働者」として働いている人は、国の統計では労働者人口の3割を超えるともいわれているそうです。

統計局ホームページ/統計Today No.97

これは、働いている人の3人に1人以上は正社員ではなくアルバイトやパート、契約社員もしくは派遣社員などとして働いているということを意味しますが、それだけ多くの非正規労働者が巷にあふれてしまっている現状は好ましいものではありません。

なぜなら、非正規労働者が多くなればなるほど、国の国力が損なわれていく結果につながるからです。

非正規労働者は通常「有期雇用契約」という「契約期間の定めのある労働契約」として会社から雇われていることがほとんどですので、契約期間が満了した場合は会社側が契約を更新してくれない限り会社を退職せざるを得なくなります。

そのため、非正規労働者は「いつクビになるかわからない」状況で日々暮らしているといえますから、経済的に安定な状況に置かれ続けることになり、結婚や出産など将来設計がままなくなり、少子高齢化はますます進み、国の財政はいずれ破たんしてしまうでしょう。

もっとも、この非正規労働者の問題を国も黙って見過ごしてきたわけではありません。

なぜなら、平成25年に施行された改正労働契約法の第18条によって、「有期雇用契約(期間の定めのある労働契約)が1回以上更新されて、更新された期間が通算して5年を超えた場合には、非正規労働者の側からの一方的な「申込み」によって「無期雇用契約(期間の定めのない労働契約)」(労働契約法第18条)に転換できることになったからです。

「無期雇用契約」とは「契約期間」が「ない」ということですので、言い換えれば「契約の更新がない」いわば「定年まで勤務することができる」ということになりますから、会社内での労働者としての地位は「正社員」と同じということです。

つまり、アルバイトやパート、契約社員などのいわゆる「非正規労働者」であっても、この「無期雇用契約への転換の申込み」を行うことで、会社側の承諾なくして一方的に「無期雇用契約」という正社員と同じ「正規労働者」になることができるようになっているのです。

平成30年4月以降に契約期間が満了する非正規労働者が対象

この労働契約法第18条の「無期雇用契約への転換申込み」の制度は、平成25年(2013年)の4月に施行されていますので、「無期雇用契約への転換申込み」の対象となる非正規労働者の契約更新期間の「5年間」についても、平成25年(2013年)から起算されることになります。

そのため、平成30年(2018年)の4月以降に有期雇用契約の期間が満了し、契約期間の通算が5年を超える人については、その全ての人が会社側に「無期雇用契約への転換申込み」を行うことによって「有期雇用契約」から「無期雇用契約」に(契約期間のある労働契約から契約期間のない労働契約に)転換することができるということになります。

たとえば、平成25年の4月1日から「X社」という会社で「契約期間1年」の契約でアルバイトをしているAさんが平成29年まで毎年「契約期間1年」で更新されているというような場合には、平成30年(2018年)の3月31日で「更新された契約期間の通算期間」が「5年」を超えることになりますから、平成30年(2018年)の3月31日までに5回目の更新がなされれば、5回目の契約が終了する平成31年(2019年)の3月31日までに「無期雇用契約への転換申込み」を行えば、5回目の契約が終了する平成31年(2019年)の3月31日の翌日(平成30年(2019年)の4月1日)から無条件で「無期雇用契約」に転換されることになります。

また、例えば平成25年5月1日から「Y社」という会社で「契約期間3年」の契約で契約社員として働いているBさんが、契約期間の満了する平成28年の4月30日までに1回目の契約が更新されている場合には、このBさんはその更新された契約が満了する平成31年の4月30日で「更新された契約期間の通算期間」が「5年」を超えることになりますから、平成30年の4月1日以降に会社に対して「無期雇用契約への転換申込み」を行うことによって、その更新された契約が終了する平成31年の4月30日の翌日(5月1日)から無条件に「無期雇用契約」に転換されることになります。

「無期雇用契約」になりたい場合は必ず「転換申込み」をする必要がある

上記のように、労働契約法第18条の「無期雇用契約への転換」の制度によって、アルバイトやパート、契約社員などの「非正規労働者」が正社員と同じ「正規労働者」になることができることになりますが、この無期雇用契約への転換は必ず「転換の申し込み」を行う必要があります。

良心的な会社では、既にこの「無期雇用契約への転換」を会社内で制度化し、転換申込みの方法を非正規労働者に告知しているところもありますので、そのような会社では会社側から転換の意思の確認や個人面談などが実施されるものと思われます。

しかし、そのように無期雇用契約への転換が制度化されていない会社では、自分から能動的に「転換の申込み」を行う必要があります。

「無期雇用契約への転換」は書面でおこなう方が良い

この「無期雇用契約への転換申込み」は申込み方法が法律で定められているわけではありませんので、口頭で「私は無期雇用契約への転換を申し込みます」と上司なり社長なりに言うのでも法律的には有効ですが、口頭で言った場合には「言った」「言わない」の水掛け論になり後でトラブルになってしまうこともありますので、「転換申込書」をいう書面を作成して会社に提出する方が無難です。

会社への提出は手渡しでも構いませんが、「転換申込書を提出した」ということが証拠として残るように、受領書を発行してもらうか、コピーを取っておくなどしておく方が良いでしょう。

コピーをとったうえで特定記録郵便など配達記録の残る手段で郵送するのも良いかと思われます。

(※内容証明郵便で送付するのが確実ですが、内容証明で送付すると会社側が不快に感じると思いますので、会社側が受け取りを拒否しているなどの事情がある場合を除いて内容証明では送らない方が良いと思います※あくまでも個人的見解です)

なお、「無期雇用契約への転換申込書」は厚生労働省のサイトにひな型が掲載されていますのでそちらを参考に作成すると良いでしょう。

安心して働くための「無期転換ルール」とは

ただし、無期雇用契約への転換はあくまでも「有期雇用契約」が「無期雇用契約」に転換されるだけ

上記で説明したように、有期雇用契約から無期雇用契約への転換は会社における労働者としての地位が「非正規労働者」から「正規労働者」に転換されることになりますから、「無期雇用契約への転換申込み」によって有期雇用契約の契約更新という「いつクビになるかわからない」という状況からは解放されることになるでしょう。

しかし、これはあくまでも「契約の更新がある」労働者から「契約の更新がない」労働者に変更されるのに過ぎませんから、給料や休日、その他の福利厚生等が「正社員」と同じに変更されるかという点についてはその会社によって対応が分かれることになるでしょう。

そのため、仮に「無期雇用契約への転換申込み」を行っても、会社側が「無期雇用契約」に契約を転換するだけで賃金等の待遇が以前と変わらず、それに納得できない場合は、会社側と個別に交渉するか、最悪の場合は転職ということも考える必要があるかもしれません。

どうしても「正社員」になりたい場合は?

以上のように、「無期雇用契約への転換申込み」によって「無期雇用契約」に転換されたとしても、それが「正社員」になるかは会社側の判断となります。

そのため、どうしても「正社員」として働きたいという場合には、転職サイトなどで正社員への登用を積極的に行っている会社を探す必要があるでしょう。

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